コラム

マンションの耐用年数は何年?寿命が来たらどうなる?

お客さまから「マンションの耐用年数はどのくらいですか?」「建物が耐用年数を超えても住み続けられますか?」といった質問をいただくことがあります。近年、各地で震災が続いていますし、台風などによる自然災害の激甚化も進んでいますので、住まいの耐久性への関心が高まっているのだと思います。

そこで今回は、マンションの建物としての耐用年数について、「マンションはいつまで使えるのか?」について考えてみましょう。記事の後半では、「耐久性の高いマンションを選ぶための3つのポイント」についてもご紹介しておりますので、ぜひご参考にしてください。

【1】マンションの法定耐用年数とは?

マンションや戸建てなどの住宅には、法律で耐用年数が定められています。ここでいう「耐用年数」とは、減価償却資産として利用に耐える年数、「減価償却」とは、不動産などの固定資産の購入費用を耐用年数の期間内に分割して費用計上する会計処理のことを指します。

こういった会計処理の際に必要になるのが法定耐用年数なのですが、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は47年と定められており、多くのマンションはここに含まれます。ちなみに木造・合成樹脂造は22年、木造モルタル造は20年と定められています。

【2】「法定耐用年数=寿命」ではない

法定耐用年数の47年が経過したからといって、直ちにそのマンションに居住できなくなるというわけではありません例えば、1920年代に建設された同潤会アパート(鉄筋コンクリート造)は2000年代に取り壊されるまで築80年前後まで実際に居住用として利用されていました。法定耐用年数はあくまでも税法上の目安で、実際の建物の耐久性とは乖離があると言えるでしょう。

【3】マンションの耐久年数は推計68年

国土交通省が2013年にとりまとめた「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書には「固定資産台帳の滅失データを基に、区間残存率推計法を用いて、家屋の平均寿命(残存率が50%となる期間)を推計した結果(2011年調査)、RC系住宅は68年(小松幸夫(2013)「建物の平均寿命実態調査」)と記載されています。

しかし、上述した同潤会アパートのように築68年を超えて居住用物件として利用されている例はありますし、アメリカなどでは、築100年を超えるような物件がざらにあります。住居はDIYで修繕や改装を重ねて住み心地を良くしていくことで、自宅の資産価値を高めていくという考え方が根付いていることが背景にあるのです。

私も数年前にアメリカ・シアトルまで行って、現地の不動産エージェントに案内してもらいながら実際の目で学んできましたが、築年数がいくら古い物件でも修繕や管理が行き届いている物件が多く、現地のエンドユーザーの判断基準も、築年数を気にするというよりも、今までの修繕履歴の中身を気にしているようでした。

こういったことを踏まえると、マンションの耐用年数・寿命は、建物の材料よりも建物の使い方や管理によって変わっていくと捉えた方が実態に合っていると言えるでしょう。

【4】マンションの耐久性を理解するための重要な3つのポイント

では、実際に中古マンションを購入するのにあたって、マンションの耐用年数や寿命を判断する上で重要なポイントは以下の3点となります。

①管理状況

②構造

③立地条件

以下、順を追ってご説明します。

(1)管理状況

マンションの耐久性を高めるためには、日常的な建物の管理に加えて、長期的な修繕計画が適切に運用されているかどうかが重要になります。

というのも、定期的にマンション共用部の補修や保護剤の再塗装などを行わないと、マンションを覆うコンクリートの劣化が進みます。コンクリートの劣化によって、その内部の鉄筋部分が錆びたり、腐食を起こしたりすると建物の耐久性は一気に低下します。

近年のマンションの大半は管理体制が整っていますので、こういった劣化に対する長期修繕計画が組まれていることが一般的です。中古マンションを内見する際には、長期修繕計画書を確認し、記載されている将来の修繕工事等の計画、工事に必要な金額などを確認するようにしましょう。

(2)構造

マンションの構造については専門的な知識が必要となりますが、簡易的な見極め方法として住宅性能表示制度を確認することをおすすめします。

住宅性能表示には「劣化対策等級」という項目があり、それぞれ以下のように分類されています。

■等級3:住宅が限界状態に至るまでの期間が3世代以上(75年~90年程度)

■等級2:住宅が限界状態に至るまでの期間が2世代以上(50年~60年程度)

■等級1:建築基準法に定められた対策がなされている(最低基準)

ただし、住宅性能表示制度自体が2000年からスタートした制度のため、それ以前の物件に適用することができません。あくまでも参考程度にご確認いただければと思います。

(3)立地条件

マンションの耐久性を考える場合、その立地環境によって建物の劣化が進みやすいといったケースもありますので、事前に確認しておくようにしましょう。

例えば、日当たりが悪い場合は、湿気がたまりやすくなりますので、カビやコケが生えやすくなりますし、海辺の立地であれば、潮風によって金属部の劣化が進みやすいといった可能性があります。

【5】まとめ

今回は、マンションの建物としての耐用年数・寿命と耐久性の高いマンションを選ぶためのポイントについて考えてみました。

マンションの建物としての寿命は概ね70年程度、ただし、使い方・管理・修繕計画次第ではこれよりも長くも短くもなるということがお分かりいただけたかと思います。

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【著者プロフィール】柴田光治
株式会社トラストリー 代表取締役、リフォーム不動産深川studio|深川くらし相談所 代表
宅地建物取引士、2級FP技能士、公認不動産コンサルティングマスター
不動産業界歴35年。大手不動産会社在籍中に執行役員として主に売買事業を統括し不動産流通に関わる。その後複数の会社役員を経て株式会社トラストリーを立ち上げ、地元密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。

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